ネット印刷で依頼できないデータはある?意外と知らないルールを紹介
印刷会社には、受け付けられないデータに関するルールがいくつかあります。知らずに依頼すると、データの再提出が必要になったり、法律違反になったりしてしまいます。本記事では、意外と知られていないネット印刷で依頼できないデータや注意すべきポイントをご紹介します。ネット印刷を利用しようと考えている方は参考にしてください。
ネット印刷で断られてしまうデータとは
ネット印刷は、自宅やオフィスから簡単に印刷物を注文できる便利なサービスですが、依頼内容によっては断られるケースもあります。
法律や倫理に反するデザインや内容を含むデータは、トラブル防止のために印刷会社が対応を拒否する場合が多いです。ネット印刷で断られてしまうデータの代表的な例を紹介します。
成人向けの内容
まず、成人向けの内容に関しては、非常に注意が必要です。
とくに刑法175条に抵触するおそれのあるデザインや内容を含む成人向けの印刷物は、断られる可能性が高いでしょう。
刑法175条はわいせつ物頒布等の罪に関する規定であり、公序良俗に反する内容が含まれる場合、印刷業者が法的リスクを負わなければなりません。リスクを避けるため、成人向けの内容を含むデータはネット印刷で依頼できないのです。
人権やプライバシー権を侵害する内容
次に、人権やプライバシー権を侵害する内容も、印刷会社に拒否されやすいです。
具体的には、特定の個人や団体に対する誹謗中傷、またはプライバシーを侵害するようなデザインや内容はNGです。人権やプライバシー権を侵害する印刷物が流通すれば、対象となる人物や団体に対して名誉毀損やプライバシー侵害といった法的な問題が生じる可能性があるため、印刷業者は慎重に対応します。
著作権・商標権・肖像権を侵害する可能性のある内容
企業のロゴ、有名キャラクター、芸能人や著名人の写真、または歌詞、漫画や本の一部を使用したデザインは、印刷業者にとって非常にデリケートな問題です。
ロゴやキャラクターといった要素は、著作権や商標権で保護されており、無断での使用は権利侵害となる可能性が高いため、事前に使用許諾を得ていない限り、印刷会社は対応を拒否します。
そのほかのケースにも注意
ネット印刷で依頼できないデータには、法律や倫理的な問題を含むものが多くありますが、ほかにも注意すべきケースがあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
インターネットで見つけた画像を使用する場合
インターネット上には多くの画像が公開されていますが、画像の多くは著作権で保護されています。
個人がアップロードした画像を無断で利用するのは、著作権侵害にあたる可能性があります。たとえ簡単にアクセスできる画像であっても、権利者の許可なしに印刷するのは避けなければなりません。
私的利用を目的とした場合でも著作権に注意
著作権法には私的複製という規定があり、自分のためにコピーすることは認められる場合がありますが、印刷業者に依頼して製造や印刷を行う場合、私的複製の範囲を超えてしまいます。
つまり、たとえ個人的な使用目的であっても、業者に依頼して印刷する際には著作権侵害となる可能性が高いです。
権利に違反しているかどうか判断に迷う場合
データに違反があるかどうかは、印刷業者に問い合わせるのではなく自分で調べる責任があります。
印刷業者はあくまでデータを受け取り、印刷するだけの立場であり、著作権の専門家ではありません。印刷業者に問題のあるデザインが含まれているかどうかの判断を求めることは避け、自らの責任で事前に確認しましょう。
印刷データの権利はもらえる?
ネット印刷を利用して商品を製造した後、印刷時に使ったデータが欲しいと思う人もいるでしょう。
データの権利はどこにあるのか、データはもらえるのかについて以下で詳しく解説します。
データの所有権は印刷業者にある
印刷業者にデータを入稿した後、業者側でなんらかの編集作業が行われた場合、データの所有権は基本的に印刷業者に帰属します。
たとえば、文字の一部を変更したり、色調整を行ったりすると、印刷会社が手を加えたことになり、最終的な印刷データは業者の著作物となるのです。印刷業者が作成した最終データは顧客に渡されるケースはほとんどありません。
たとえ元データが自分のものであったとしても、業者が編集した内容が知的財産として保護されるため、最終データの所有権は業者にあるとされるのが一般的です。また、仮に最終的な印刷データを希望しても、データを受け取るには別途費用がかかる場合があります。
印刷業者によっては、追加料金を支払えばデータを提供するサービスもありますが、あくまで例外的な対応であり、通常のサービスには含まれていません。したがって、印刷業者にデータを依頼する際には、最終データが手元に戻らない可能性があると事前に理解しておく必要があります。
もし、データの所有権がどうなるか気になる場合は、注文前に業者と確認しておくとよいでしょう。
まとめ
ネット印刷は便利で手軽に利用できる一方、依頼できないデータや注意すべき点も多く存在します。成人向けの内容や権利を侵害するデザインはもちろん、インターネットで見つけた画像や私的利用目的のデータでも法的な問題が発生する可能性があります。また、印刷業者が手を加えたデータは、所有権が業者にあるため、基本的に提供されません。ネット印刷を利用する際は、事前にこれらのポイントを確認し、トラブルを防ぐために慎重に対応する必要があります。

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